2022/2『冒険者たち』

文字数 917文字

 2022年、二回目の観劇は、前回とは打って変わった軽喜劇的な作品でした。KAATで上演された『冒険者たち』は、西遊記を神奈川の名所を巡るお話にする、という設定なので馴染みのあるお話かは?と思っていたのに、蓋を開けてみたら既視感がまるでない…。考えてみれば、私は、西遊記は主な登場人物は何となく知っていますがエピソードをまるで知らない。そして、神奈川の名所も知らないところだらけでした。
 無料で頂ける6ページほどのパンフレットに解説がある親切が嬉しい神奈川県民です(汗)



 当日のKAATのロビーに飾られていた春節のオブジェランタンです。演目にぴったりでした。

 中スタジオという、KAATで一番小さなスペースで、出演者6人に演奏者1人のシンプルな構成ながら、話も場面も目まぐるしく変わり、なかなかお腹いっぱいになりました。主人公は、もちろん三蔵法師なのですが、空腹を抱え、道に迷い、頼りにならない感じ。それに、神奈川の中を食べ歩きにいそしむあまり芝居に出て来ない猪八戒、女たらしな沙悟浄、行方知れずな孫悟空、とこれまた頼りにならない弟子たちという、ポンコツな一行です。そんな一行が、神奈川の神様たちの手を借りて、本来の旅路に出る、というお話でした。
  ゆるっとしたお話ながら、出演者は大変そうですが、皆さん、持ち味を存分に生かした演技で楽しませてくれます。佐々木春香さんは、紅一点の若手、いっぱいいっぱい感も好感が持てます。ストーリーテラーと、その他色々を演じるなど、成河さんが軽妙に大活躍します。歌も少しあります。私は、『スリル・ミー』と『髑髏城の七人・Season花』でしか成河さんを見た事がなかったので、驚きつつすごい役者さんなのだと、感動していました。長塚さんの沙悟浄も、上手い。
 中スタジオだとチケット代がお安いんです。横浜では、なかなかこういう手頃なチケット代でおもしろい舞台、というものが見れないので、またこういうものを、と期待しています。


上演台本・演出:長塚圭史(原作:呉承恩『西遊記』)
共同演出:大澤遊 
音楽・演奏:角銅真実

出演:柄本時生 菅原永二 佐々木春香 長塚圭史 成河

劇場:KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
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