2022/4『四月大歌舞伎 第三部  一、ぢいさんばあさん 二、お祭り』

文字数 691文字

 先日のシネマ歌舞伎の『桜姫東文章 上の巻』と同じ仁左玉コンビで、真逆なお話、『ぢいさんばあさん』を見てきました。人もうらやむ仲の良い若夫婦だった二人が三十七年ぶりに再会する、その時、老いた二人がお互いを思う気持ちが瑞々しく温かく、思わずうるっとさせられました。

 原作は森鴎外の短編小説です。京都に単身赴任中の夫、伊織が、無理をして手に入れた刀で同輩を殺めてしまう事件を起こし、遠地にお預けの身となり、それから三十七年後にようやく許されて故郷に帰ります。芝居では、事件を起こす京都の鴨川の川床でのやりとり、ささいな事で道を踏み外す人間の様を、歌舞伎ではていねいに描いているので、原作より夫婦の物語になっていると思いました。

 1951年初演の比較的新しい演目なので、台詞も筋立てもわかりやすく、シンプルです。それだけに、仁左衛門さん、玉三郎さんのきめ細かい演技が、伊織とるん夫婦の人柄、二人の気持ちを表していたからこそ感じられる感動だったと思います。

 次の舞踊は、おばあさんから粋な芸者姿に変わった玉三郎さんの『お祭り』。江戸情緒たっぷりの、華やかで粋な舞いでした。



一、ぢいさんばあさん
 森 鷗外 原作
 宇野信夫 作・演出

 美濃部伊織  片岡仁左衛門 
 下嶋甚右衛門 中村歌六
 宮重久右衛門 中村隼人
 宮重久弥   中村橋之助
 久弥妻きく  片岡千之助
 戸谷主税   片岡松之助
 石井民之進  片岡亀蔵
 山田恵助   河原崎権十郎
 柳原小兵衛  坂東秀調
 伊織妻るん  坂東玉三郎

二、お祭り(おまつり)
 芸者   坂東玉三郎
 若い者  中村福之助
 同    中村歌之助

劇場 歌舞伎座




 
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