2021/6『外の道』

文字数 831文字

 とても楽しみにしていた作品でしたが、予定されていた2020年の公演は中止になりました。それを、劇場は変わりましたが、同キャストで今年上演するという嬉しい事が起こりました。今回は払い戻しになりませんように、と願った公演でした。
 シアタークリエはロビーから客席へ行く通路が、異世界へのトンネルのようにも感じられ、この作品への期待がたかまりました。前川知大さんの作品、いつも以上に集中力を高めて、開演を待ちます。

 「獣道一直線」にも出演していた池谷のぶえさんを迎えての劇団イキウメの新作は、静かで不穏な気配から始まり、ぐるぐると螺旋階段をのぼるように景色を変えながら感情が高まっていきます。池谷さんと劇団イキウメの安井順平さんが演じる再会した同級生二人は、見えない何かにとりつかれていくのか、それとも二人だけがそれを感じ取れるのか…。前川さんの作品は、明解に正解が提示されるわけではありませんが、不安とか希望とか、色々と心の中から引き出される気がします。出演者全員が何らかの役割で、舞台上に居続ける緊張感にも目が離せません。
 そして、主演の池谷のぶえさんは、その佇まいや声が映像作品でもとても印象に残るのですが、舞台では更に惹きつけられます。凛とした、そしてユーモアも備えた演技で、大黒柱的に、このお芝居を支えていたと思います。平易な台詞なのに、つながりや、意味を考えながら観劇していると、休憩なしの約二時間で脳が糖分を消費しつくしました。致し方なく(?)今回は、スィーツでの糖分補給をしてから帰ることにしました。

 DVDの発売も後日あるかと思いますので、ここではストーリーについては語りません。いや、私ごときには語れません。百聞は一見に如かず、ぜひ見て頂き、自分なりの考えで受け止めてもらいたい作品です。


[作・演出] 前川知大
[出演] 浜田信也  安井順平  盛 隆二  森下 創  大窪人衛 /
池谷のぶえ  薬丸 翔  豊田エリー  清水 緑

劇場:シアタートラム
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