2023/1『暮らしなずむばかりで』

文字数 590文字

 新春第二弾の観劇は、歌舞伎座とうってかわって下北沢の小劇場、「ザ・スズナリ」です。初スズナリなので、スマホ片手におそるおそる下北沢の奥地へ進み(大袈裟)、歴史を感じる階段をおそるおそる上り(本当)、なかなか急な勾配の客席に落ち着きました(見やすい)。開演前には通路に補助席の出る満々席!久しぶりに見る埋まりに埋まった客席に、気分が上がります。

 【作】福原充則  【演出】木野 花
 【出演】高田聖子 宍戸美和公 森戸宏明 信川清順 田村健太郎 松村武

 さて、物語は地味~に始まります。福原充則さんは大きい劇場での音楽劇も見ていたので、こういう作風もあるのね、とか、対象が市井の人々なのは変わらないなぁ、と思いつつ観ていると、登場人物の人生がゆっくり浸透してきます。高田聖子さんは、選択肢があるたびに不幸になる方を選んできたんじゃないかと思えるようなついてない役なのに、ジメっとしない独特のキャラを自然に作り出します。古いアパートで知り合ったひたすら地味な人生を送ってきた三人の50代が、三人らしい地味な交わりから、それぞれの人生に関わるうちに思わぬ方向に向かって行く物語。最後の爆発力は、さすが福原さんだ!いや、さすが「月影花之丞」センセ(木野花さんのことです)だ!
 スカっとした、というかワクワクしたというか、楽しくてほころんだ顔で劇場を後にする、幸せを感じられるお芝居でした。
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