2022/12『十二月大歌舞伎 昼の部』

文字数 1,292文字

 2022年最後の観劇は、先月に続いての「十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行」の昼の部になりました。演目は、『一、鞘当 二、京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめふたりどうじょうじ) 三、毛抜』でした。お目当ては、八代目市川新之助初舞台の『毛抜き』でした。

 正直、二か月続けての二万三千円(一等席)のチケット代は痛かったです。痛いと感じること自体がすでに感想になっていると思いますが、先月の助六もそうですが、いわゆる歌舞伎十八番の演目が退屈で…。今回の『毛抜』も、ストーリーにハラハラもドキドキもウルウルもなく、ただただ武将の着ぐるみ化した新之助くんが最後までやる通せるかしら?という余計なお世話なハラハラと、上手にできたねパチパチだけだった気がします。元々『毛抜き』という演目に喜劇性があるのに加えて、大人の役を子供が演じるおかしみが足されて、完全に喜劇、しかもラストに、見得(みえ)はあってもオチはない。新之助くんは、上手にこなしていたと思いましたが、それを愛でるだけでこのチケット代は、私にはお高かったです。

 見ごたえがあったのは、『京鹿子娘二人道成寺』の二人の白拍子の踊り。私は、舞踊演目はさほど心を惹かれないのですが、これは楽しめました。数回の衣装の引き抜きなど、振袖姿とはいえ男性の筋力が必要そうな躍動的な踊りで、尾上菊之助さん、中村勘九郎さんという踊り巧者の舞は目が離せませんでした。この演目の最後の最後に着ぶくれた衣装(勇壮な武士の姿ということらしいです)で出てきて、鬼女となった白拍子を退治する『推戻』というシーンが唯一の市川團十郎さんの登場シーン。短い…えっ?これだけ?襲名披露興行じゃないの?と疑問を感じつつも、まぁこれを延々と見せられても退屈だよね、と思い直しましたが(笑)

 話が前後しますが、最初の『鞘当』も何が面白いのか、よくわからず仕舞い。どうもこれは、華やかな衣装で登場した推し役者を見て楽しむ、ファンイベント的な演目なのでは?松本幸四郎さんも、尾上辰之助さんも感動した演目は他にあるのですが…。

 歌舞伎はチケット代が高額なので、先月、今月と話題の襲名披露を見に行こう!というノリで行ってしまいましたが、満足度(個人の感想です)が低いと、高かったなぁ…という印象が強く残ってしまいますね。歌舞伎はまだまだ初心者なので、これからは、演目のストーリーを調べてよくよく考えてチケットを取ろうと思います。


一、鞘當(さやあて)

不破伴左衛門 松緑
留女 猿之助(奇数日)
留男 中車(偶数日)
名古屋山三 幸四郎

二、京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)
鐘供養より『歌舞伎十八番の内 押戻し』まで

大館左馬五郎 海老蔵改め團十郎
白拍子花子 勘九郎
所化 彦三郎
同 坂東亀蔵
同 萬太郎
同 種之助
同 男寅
同 中村福之助
同 玉太郎
同 歌之助
白拍子花子 菊之助
後見 家橘

三、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)
八代目市川新之助初舞台相勤め申し候

粂寺弾正 初舞台新之助
腰元巻絹 雀右衛門
秦民部 錦之助
八剣数馬 歌昇
小野春風 新悟
秦秀太郎 児太郎
錦の前 廣松
八剣玄蕃 右團次
小原万兵衛 芝翫
小野春道 梅玉

劇場:歌舞伎座

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