2022/6『関数ドミノ』

文字数 582文字

 一年ぶりの劇団イキウメの舞台。

世界はある特定の人間を中心にして回っているとする考え。
その人間の願ったことは必ず叶う。
願った瞬間にドミノが倒れ、結果に向かって進んでいく。
周囲はそれに合わせて調整される。

 という主張を繰り広げる真壁役の安井順平さんの演技は、演技と思いつつ説得されそうになります。でも、この主張が軸かと思って掴まっていると、話は少しづつずれて、気持ち悪さを覚えつつ観ていると、あぁそこなんだ、そんなところもあるんだと納得してしまう着地点について終わる。前川知大さんの脚本の醍醐味です。
 『関数ドミノ』はこのラストが、真壁が一気に走り込んで着地してしまうスピード感があって、そうか、ガッテン!と、妙に高揚感がありました。
 うーん、抽象的で誤謬力のない感想で申し訳ありません。でも、ストーリーを説明しても上手く伝わらないし、とにかく観て始めてわかる理論的なようで感性で受け取るしかない世界です。出演者の皆さんの抑制的に見える緻密な演技は、シンプルなセットで展開する台詞劇の中で、色々な立場のキャラクター、シチュエーションを見事に表現していました。

 一度見るとはまる劇団、だと思います。

作・演出:前川知大

出演  :浜田信也、安井順平、盛隆二、森下創、大窪人衛、温水洋一、
     小野ゆり子、太田緑ロランス、川嶋由莉

劇場  :東京芸術劇場 シアターイースト

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