2022/11『歌妖曲~中川大志之丞変化』

文字数 1,032文字

 明治座は、かなり久しぶりでした。そして、やはり地下鉄の出口を間違えて、方向感覚を失いウロウロしてしまいました。ようやく近づくと、幟がはためいております♪芝居小屋です♪ロビーの売店もにぎやかで、買わなくてもわくわくします。座席にクッションが装備されてから、かなり腰が楽になりました。

 さて、明治座というと、少しクラシックなタイプのお芝居とか、演歌の方のショーのイメージですが、今回は違います。脚本、演出が倉持裕さんですから。

 シェイクスピアのリチャード三世を昭和歌謡界に置き換えた音楽劇、だそうです。そんなこどができるのか?

 劇中に登場する歌はどれも、昭和歌謡風の懐かしいメロディとリズム。本気のパロディは聞かせる曲ばかりでした。バックダンスも衣装も昭和世代には、懐かしい。そこにリチャード三世の物語はどう展開するのかというと、これがなかなか過激な落とし込みでした。シェイクスピア悲劇的な重々しさは、わかりやすい音楽と華やかなショー、随所に(特に前半)挿入される笑いで軽やかになります。そして、戦争と王座の争いが歌謡界の権力争いと複雑な家族の確執にスケールダウンする分、主人公の設定は過酷です。その悲劇も泥臭く、湿度が高く、執拗にまとわりついて破滅へと向かって行きます。ですが、見終わってみると、確かにリチャード三世の悲劇の本質からは外れていないと思いました。

 主人公の中川大志さんは、出演シーンの半分以上、醜い容姿の鳴尾定として登場するので、変身して美しい歌手の桜木健一として登場するときの輝きが凄かったです。歌唱力もあり(桜木輝彦としてデビューされました)、難しい役を見事にこなしていました。
 歌謡界のドンで定の父親鳴尾勲が池田成志さん、陰で勲を支える裏稼業の大松盛男を山内圭哉さん、その二人と昔トリオを組んでいた映画監督に福田転球さん、という私の大好きな俳優さんが揃っていました。三人が組んでいたピンキリトリオ、最高でした。
 その他の出演者の方々も好演で、ゆるみのないあっという間の三時間でした。

 3/25日(土)午後6:00 にWOWOWで放送されるそうです。


作・演出:倉持裕
出演:中川大志 / 松井玲奈、福本雄樹 / 浅利陽介、中村中 / 福田転球、玉置孝匡、徳永ゆうき、中屋柚香、長田奈麻、香月彩里、四宮吏桜 / 山内圭哉 / 池田成志 / 岩崎巧馬、遠藤令、金子大介、熊澤沙穂、鈴木サアヤ、鈴木智久、高澤礁太、藤森蓮華、南誉士広、村田実紗

劇場:明治座
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