2021/12『イモンドの勝負』

文字数 886文字

 2021年の観劇の〆は、久しぶりのナイロン100℃の公演「イモンドの勝負」になりました。例年、魅力的な舞台が目白押しの12月。なにかと自分が気ぜわしく、スケジュール的にあきらめるてばかりで、残念な月なのです。昨年来のコロナ禍で、ますます絞りに絞らざるおえず、これだけは、と久しぶりの本多劇場へ行って来ました。




 
 ナイロン100℃の劇団員の皆さんに、池谷のぶえさん、以前にもナイロンの舞台で拝見した山内圭哉さん、赤堀雅秋さんという強力、かつ濃厚な出演者。俳優の職人芸と言いたくなるような魅力的なオープニングから、不穏な物語が始まり、道筋の見えない先へ転がって行きます。
 これは、自分の頭の中で筋を追おうとしてはいけないお芝居なのです。組み立て用とすれば、それはエッシャーの絵のように、不思議な形になってしまい、それに捕らわれたら置いてけぼりになってしまいます。初めて見たナイロン100℃の舞台、「社長吸血鬼」で経験済み。不条理な世界をたゆたっていると、何とも多くの感情が浮かんできます。とても多彩で、とてもあいまい。
 舞台の上では、「不思議の国のアリス」のように、不思議な光景が次々と現れ、ちょっとおかしな人たちが出たり入ったり、そしてちょっとグロテスクで残酷だったりします。主人公の絶対負けない男タモツの大倉孝二さんは、アリスのように右往左往しながら、バラバラに感じる場面を繋いでいるような、いないような。
 今回も置いてけぼりになったり、ちょっと追いついたりしながら完走。どうなるのか?と思ったラストはアリスのように目が覚めるというような静かなものでは全然なかったです。意表をつかれる終わり方でした。ストーリーやそれぞれの場面は、説明しても意味がないとしか言いようがなくて、まさに、ナイロン100℃でしか見れないお芝居なのです。
 後日、DVDが発売されるようです。


作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:大倉孝二 / みのすけ、犬山イヌコ、三宅弘城、峯村リエ、松永玲子、長田奈麻、廣川三憲、喜安浩平、吉増裕士、猪俣三四郎 / 赤堀雅秋、山内圭哉、池谷のぶえ

本多劇場
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み