第23話 道長の結婚

文字数 546文字

 弟道長にふさわしい女性を探していたのだが、素晴らしい姫君がいらっしゃった。宇多天皇の曾孫に当たられる。才色兼備。お父上は、左大臣源雅信殿。父兼家に意見の言える唯一の公卿でいらっしゃる。この結婚は摂政である父兼家と左大臣雅信殿の緊張緩和につながる。また朝廷の中心的地位にあり土御門邸をはじめとする財産を持っていらっしゃる雅信殿の婿になることは、道長にとって政治的にも経済的にも基盤の形成において大きな意味をもつことであろう。また、ご兄弟も多く、子宝にも恵まれる可能性が高い。わたくしは、一人しかお子に恵まれず、残念であった。代わりであるかのように弟道長をかわいがっている。同腹で、わたくしより年少なのは、道長だけであるし。
 永延元年(987年)二人は三日の餅を食べところあらわしを行った。すぐ次の年、玉のような姫君が生まれた。(後の彰子)めでたいことである。
 もう一人、我が子のようにかわいがっている姫君がいらっしゃる。先の左大臣源高明殿と愛宮の娘である源明子様だ。縁あってわたくしがお世話申し上げ、この姫君も道長の妻となられた。
 とても、一夫一婦制の令和生まれとは思われない行為だ。(まあ、二股や三角関係、不倫騒動のドラマはあったけど。)わたくしも、すっかり平安時代に染まってしまっている。
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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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