第34話 彰子、お勉強する(その1)

文字数 809文字

とて、とて、とて。

 この御屋敷のお庭は、とっても素敵。お池があるし、橋が架かっているし、お花が咲いているし、珍しい置物がいっぱい!!そのうえ、いくら走っても苦しくならない。

「お、お待ちください、彰子様。へ、平安時代の姫君は、お庭を走ったり、なさいません!!」

出雲が慌てて追いかけてくる。

「お勉強のお時間です!!」

 私が小学校に通っていたのは、小学4年生まで。1学期に入院して、院内学級に転校したけど、具合が悪くて、ほとんど行けなかった。けれども、勉強はきらいではない。小4だと、社会科は習っていない。



 彰子様は、宇多天皇のひひ孫に当たられます。宇多天皇の皇子、敦実親王の子が源氏姓を賜り源雅信と名乗ったのがお祖父様です。お祖父様は、お母様を妃がねとして育てられました。お祖父様は、従一位で左大臣、位人臣を極めていらっしゃいます。天皇家から臣下に下った者として最も素晴らしい栄達です。

 ところがお母様は、天皇の后にはなられませんでした。源氏の最大のライバルである藤原家の三男兼家様(こちらも、彰子様の祖父だが)の正妻の末息子と結婚されたのです。当時、祖父兼家様は、外祖父として一条天皇の摂政に任じられたばかりで、父道長様は左近衛の少将で公卿にすらなっていらっしゃいませんでした。お父様の兄君、道隆伯父様は権大納言、道兼伯父様は権中納言であったから、お父様が出世するかどうかは不確かであったのに、お祖母様が強く薦められたそうです。

 彰子様の誕生を最も喜んだのは、源氏のお祖父様であり、すでに定子様を孫に持っていた藤原のお祖父様ではありませんでした。お父様、お母様はたいそうなお喜びでしたが。

 定子様は、道隆伯父様の娘で、彰子様のいとこになります。一条帝の中宮で、たいそう時めいていらっしゃっいました。まずは、定子様のことをしばらくお話ししなくては。



 うーん。難しすぎて、ちっともわからない。6年生に分かるように教えてよ!!

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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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