第14話 詮子懐妊
文字数 935文字
年が明け、天元3年となった。めでたいことであるが、心憂い年明けである。昨年、6月3日に、中宮媓子様がお亡くなりになって帝はずっとふさぎがちだ。わたくしが御前に上がった時も、梅壺にいらっしゃった時も、雅やかにお話になられるのだが。高校生だった私には、帝はとても魅力的な大人の男性。愁いを帯びたお姿も、なかなか絵になるイケメンだ。
しかし、わたくしのほうも、母(藤原時姫)の具合がよろしくない。この時代の医療体制は悲惨だ。加持祈祷は、父や長兄道隆が心を込めて行っているが、まあ、そんなもので回復するとは思えない。とうとう、21日に帰らぬ人となってしまわれた。転生前、身近な人が亡くなるなんて経験、皆無だった私には、かなりのダメージだった。(死んだの、私くらいだもの。転生前の、お父さん、お母さん、ごめんね。いまさらながら、先立ってしまった娘の不孝を許してね。)
帝や、女御様、更衣、主だった公卿様より、弔問の文をいただく。母の夫は、右大臣、長子道隆は左近衛少将、次子道兼は昇殿を許されたばかり。長女超子は女御であるが、国母になるかどうかは、分からない。道長は、まだ子ども。気がかりの多いことであろう。わたくしが、きっと、後の人々がうらやむような一家にして見せます。
物忌とやらで、どなたともお会いせず、悲しみに暮れていると、どうも体の調子がおかしい。食べ物はのどを通らないし、むかむかと気持ちが悪い。わたくしも、母の後を追うのだろうか。なんと、食したものを吐き戻してしまった。あわてて、女房に薬師が呼ばれる。
「おめでとうございます。ご懐妊であらせられます。本年の夏ごろお子がお生まれになるでしょう。」
あまりのことに、言葉が出なかった。梅壺は、大騒ぎになり、ほうぼうに知らせが飛んだ。これも、母のご加護か。初めてのお子となる帝も、ことのほかお喜びである。父も、兄たちも。しかし、そうでない方々もいらっしゃる。気をつけなくては。なんだか、呪いとかあるらしいし。
ここで、男皇子がお生まれになれば、政治が動く。ネットで読んでいた転生ものの小説でも、王子の誕生は、大きな変革のもとだった。ええと、安産には、適度な運動と、偏らない栄養と、あと、何だっけ。加持祈禱 って、必要か?
しかし、わたくしのほうも、母(藤原時姫)の具合がよろしくない。この時代の医療体制は悲惨だ。加持祈祷は、父や長兄道隆が心を込めて行っているが、まあ、そんなもので回復するとは思えない。とうとう、21日に帰らぬ人となってしまわれた。転生前、身近な人が亡くなるなんて経験、皆無だった私には、かなりのダメージだった。(死んだの、私くらいだもの。転生前の、お父さん、お母さん、ごめんね。いまさらながら、先立ってしまった娘の不孝を許してね。)
帝や、女御様、更衣、主だった公卿様より、弔問の文をいただく。母の夫は、右大臣、長子道隆は左近衛少将、次子道兼は昇殿を許されたばかり。長女超子は女御であるが、国母になるかどうかは、分からない。道長は、まだ子ども。気がかりの多いことであろう。わたくしが、きっと、後の人々がうらやむような一家にして見せます。
物忌とやらで、どなたともお会いせず、悲しみに暮れていると、どうも体の調子がおかしい。食べ物はのどを通らないし、むかむかと気持ちが悪い。わたくしも、母の後を追うのだろうか。なんと、食したものを吐き戻してしまった。あわてて、女房に薬師が呼ばれる。
「おめでとうございます。ご懐妊であらせられます。本年の夏ごろお子がお生まれになるでしょう。」
あまりのことに、言葉が出なかった。梅壺は、大騒ぎになり、ほうぼうに知らせが飛んだ。これも、母のご加護か。初めてのお子となる帝も、ことのほかお喜びである。父も、兄たちも。しかし、そうでない方々もいらっしゃる。気をつけなくては。なんだか、呪いとかあるらしいし。
ここで、男皇子がお生まれになれば、政治が動く。ネットで読んでいた転生ものの小説でも、王子の誕生は、大きな変革のもとだった。ええと、安産には、適度な運動と、偏らない栄養と、あと、何だっけ。