第18話 円融天皇の独り言(その2)

文字数 429文字

 一の宮が無事生まれ、安心したのはよかったのだが。その後、これ以上右大臣藤原兼家に権力が集中しないように、関白頼忠殿の娘遵子に中宮の宣旨を下したまではよかった。遵子のほうが先に入内したのだし、父親の位も、遵子のほうが上だ。不当とは言えないと思ったのだが。
 そのあと、詮子は全く参内しない。一宮に会えない。当然、詮子から二の宮が生まれることはない。中宮遵子も、承香殿の女御(尊子内親王)も、子が生まれる気配が全くない。このままでは、余は本当に中継ぎに終わってしまう。兄の朱雀院には、たくさんの皇子や皇孫がいる。余の子は、たった一人。
 まつりごとも、右大臣兼家が全く参内しないので、滞りがちだ。このままでは、いずれ東宮への退位を迫られる。東宮は、兼家の兄藤原伊尹の娘懐子だ。兼家の力は及ばない。
 仕方がない。次の次の天皇、新しい東宮を一の宮とすることを条件に、東宮に譲位し余の子孫が天皇になるよう動くとしよう。譲位した後は、政治(まつりごと)に関わらず、雅に暮らせばよいのだ。
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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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