第35話 彰子、お勉強する(定子様の事)

文字数 668文字

 定子様は、道隆伯父様と高階高子様の長女でいらっしゃいます。高子様は、一条帝の父上(円融天皇)の御代に内侍として仕えた、漢詩も和歌も才能と知識にあふれた才女であられました。その才を受け継ぎ、定子様は知性にあふれ、明るく美しく、ただお一人の女御として一条帝と仲良く過ごしていらっしゃったのです。

 その時のご様子は、かの清少納言の書き著した「枕草子」という書き物に詳しく書かれています。彰子様も、後で、これを読んでお勉強しましょうね。

 ところが、その栄華は、定子様19歳、彰子様が8歳の時に突然終わりを告げました。正暦5年(994年)4月、道隆伯父が病に倒れ、帰らぬ人となられたのです。後を継がれたのは、定子様の兄君ではなく、道兼伯父様でした。そのうえ、道兼伯父様もその年の5月にあっという間にお亡くなりになってしまいます。次に後を継ぐのは、彰子様の父君道長様か、定子様の兄君伊周様か。

 一条帝は、定子様を大切に思っていらっしゃいましたから、伊周様をとお考えだったらしいです。ところが、一条帝の母君東三条院様(藤原詮子)が強く推されて父君道長様に決まったのです。

 一条帝には、太政大臣藤原公任と親王様の娘、藤原義子様、左大臣藤原顕光の娘、藤原元子様が次々と女御として入内されました。定子様は、お父上をなくされて悲しみの中、中宮としてあたらしい女御様方と贈答の品や文を交わし、交流を持っていらっしゃったのです。誠に素晴らしい女御様です。

 しかし、殿方は、そうはいかなかったのでした。

 ふうん。定子お姉さまは、私のいとこで、素敵な女御様なのね。

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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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