第20話 花山帝の世

文字数 465文字

 花山帝の世となった。わたくしは、現在は東宮の母。今のところ、何も力はない。
現在力を持っているのは、表向きには関白の藤原頼忠殿であるが、実際には父兼家の長兄伊尹殿の五男に当たる藤原義懐殿だ。長年東宮坊として花山帝に仕えていたので、帝の信任が厚い。父も東宮の祖父として力を蓄えているようだ。
 花山帝の女御は、4人いらっしゃる。1か月で宮を退出してしまった藤原姚子様。特別寵愛を受けたわけではないが、終始帝から目をかけられている関白頼忠の娘藤原諟子様。初め天皇の寵愛を受けたが次第に衰えた親王の娘の婉子女王様。そして、最愛の藤原忯子様。藤原義懐殿の妻の妹君で、帝が自ら御命令になり入内され深い寵愛を受けているという。
 円融院も、自由な身になられて、管弦詩歌三昧の雅な日々をお過ごしだ。たまには、こちらまでいらっしゃり、親子三人で語らうひと時もある。
 宮中は、関白派・義懐殿派・父兼家派の三竦みのにらみ合い。噂はさまざまに耳に入ってくるのだが、わたくしには東宮でいらっしゃる一宮様と、かわいい弟の道長が大事。日々は、穏やかに過ぎていく。
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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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