第22話 皇太后
文字数 631文字
わたくしが皇太后となってから、急に訪ねて来る者が増えた。
父兼家は、一条帝の祖父として摂政となっているのだから、国母であるわたくしを尊重し、よい関係を持つことが当然だ。以前と変わらぬ態度でいらっしゃる。
長兄道隆は、以前は、ほとんど来ることのなかったが、今は度々あいさつにやってくる。さすがに口にはしていなかったが、中宮になりそこなった不出来な妹、というお気持が感じられ、軽く扱われているのが伝わっていた。兄は、たくさんいる帝の伯父の一人にすぎない。いまさら機嫌を取られても、心を許すわけにはいかない。
次兄道兼は、もっとひどい。花山院の出家について、自分が院のために一緒に出家すると言って本望を遂げられるために活躍しただの、父のために思いとどまったのだの、人には聞かせられないようなことを暗に示す。そんな話は、しないでほしい。
弟道長は、子供のころから仲が良く、わたくしを姉として慕っていらっしゃる。以前から度々あいさつにきている。そろそろ、どこかの姫君と縁を結び、婿として将来の後ろ盾を得るころだ。よい姫君と縁を結ぶことができるよう、心を砕こう。
わたくしが、立后したころ、わたくしの女房が中宮遵子様の兄上に「姉君の素腹の后はどちらにおいでで?」と皮肉ったという話を聞いた。別に、遵子様には恨みはないが、この兄上には思うところがあったので、くすりと笑ってしまった。はしたなかったかしら。
とにかく、わたくしが政に関しても力を持つことができそうだ。腕が鳴る!
父兼家は、一条帝の祖父として摂政となっているのだから、国母であるわたくしを尊重し、よい関係を持つことが当然だ。以前と変わらぬ態度でいらっしゃる。
長兄道隆は、以前は、ほとんど来ることのなかったが、今は度々あいさつにやってくる。さすがに口にはしていなかったが、中宮になりそこなった不出来な妹、というお気持が感じられ、軽く扱われているのが伝わっていた。兄は、たくさんいる帝の伯父の一人にすぎない。いまさら機嫌を取られても、心を許すわけにはいかない。
次兄道兼は、もっとひどい。花山院の出家について、自分が院のために一緒に出家すると言って本望を遂げられるために活躍しただの、父のために思いとどまったのだの、人には聞かせられないようなことを暗に示す。そんな話は、しないでほしい。
弟道長は、子供のころから仲が良く、わたくしを姉として慕っていらっしゃる。以前から度々あいさつにきている。そろそろ、どこかの姫君と縁を結び、婿として将来の後ろ盾を得るころだ。よい姫君と縁を結ぶことができるよう、心を砕こう。
わたくしが、立后したころ、わたくしの女房が中宮遵子様の兄上に「姉君の素腹の后はどちらにおいでで?」と皮肉ったという話を聞いた。別に、遵子様には恨みはないが、この兄上には思うところがあったので、くすりと笑ってしまった。はしたなかったかしら。
とにかく、わたくしが政に関しても力を持つことができそうだ。腕が鳴る!