第21話 花山帝の出家

文字数 559文字

 寛和2年6月23日、穏やかな日々は、突然終わりを告げた。
現在の天皇であられる花山帝が、昨夜、出家されたというのだ。つまり、東宮である我が一宮が天皇になられるのだ。誰も予想しなかった、急な展開である。混乱で、頭がついていかない。なにがどうなっているやら。
 父兼家は、満面の笑みでわたくしに挨拶をし、儀式のことを伝えて、走るように去っていった。どうやら、兄上たちを使って、花山帝の出家をお助けしたようだ。花山帝は、昨年7月に女御の忯子様を身重の身で亡くされて以来、出家して供養したいと願われるのを義懐殿がお停めしているという話を聞いたことがある。蔵人としてお仕えしていた次兄の道兼兄が動いたか。
 長兄の道隆兄や、異腹の道綱兄の手ですでに三種の神器は東宮御所に運び込まれている。やはり父が裏で糸を引いていたのに違いない。もう、出家を覆すことはできず、誰も一宮の即位を止めることはできない。
 数え年7歳にして、一宮は、一条天皇となった。摂政は、父兼家。一宮には、弟君はいらっしゃらないので、東宮は、姉上がお産み申し上げた朱雀院の第二皇子が立たれた。(花山院の異腹の弟君)これで、父は、天皇と東宮の祖父となる。
 わたくしは、7月5日に皇太后となった。中宮にはなれなかったが、国母となったということだ。目標達成?出雲、どうなの?
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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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