第31話 詮子平安時代を終える

文字数 363文字

 長宝3年9月18日、わたくしの四十の算賀が、道長の土御門第にて行われた。道長も、病勝ちで心配ごとは多い。わたくし自身の病気や、昨年暮れの彰子様のお産みになった皇女様が翌日お亡くなりになってしまったことなど、苦しいことの多かった昨今であるが、この日は、安らかでいられた。孫の代わりに道長の正妻倫子様のお産みになった太郎君と、かの源高明様の娘明子様のお産みになった次郎君がかわいらしい舞を披露してくださった。
 しかし、わたくしも、もう長くはないであろう。わたくしのただ一人のお子である一条帝が、立派に務めを果たしていらっしゃることが喜ばしい。定子様のお産みになった孫の一宮は、まだ四つ。男皇子がまだ一人しかいらっしゃらないのが心配である。が、どうにも仕方がない。


 わたくしは、この年閏12月、院別当の藤原行成の屋敷にて崩御した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み