第33話 プロローグ

文字数 579文字

白く四角いお部屋。つながれるたくさんの機械。ピ、ピ、ピ、となり続ける音。

 それでも、今日は気分がいいほうだ。最近のお気に入り、翠おばちゃんにもらった源氏物語の漫画版を手に取り、読み始めた。

「ちょっと、小学6年生には早いかな」と言いながら渡してくれたけど、今と全く違う時代にあこがれる。もう、何回読んだか数えきれないが、読むたびに夢中になる。

 少し読むと、満足して眠くなった。

「たいへん!ドクターを早く!!ご家族にも連絡して。」

 看護婦さんたちのあわただしい声が聞こえてきた。私はそのまま眠りに落ちた。







 「彰子様、起きていらっしゃいますか?」



 えっ、彰子!?えーっと、知らない名前だわ。それに、このお部屋、病院じゃないし。呼吸は、楽だし、どこもいたくない。

 「彰子様、私は女房の出雲と申します。あなたは、平安時代に転生されたのですよ。あなたが読んでいらっしゃった源氏物語の原作者が生きている時代です。ちょっと先になりますが、彼女にも会えますよ。」

 えっ、あの、漫画の?他にも、翠おばちゃんが読ませてくれた異世界転生の主人公みたいに?

 「お判りにならないことは、出雲が教えて差し上げますから、何でもきいてくださいね。」

 ママやパパは、泣いていないかしら。

 「それはもう、悲しんでおられます。ここで、元気な体に転生なさったことを、お知らせできないことが残念です。」
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登場人物紹介

時姫…彰子のおばあちゃん。摂津守藤原中正の娘。

   藤原兼家の妻。藤原道隆・藤原道兼・藤原道長・超子・詮子の母。

藤原兼家…彰子のおじいちゃん。

     藤原師輔の三男。兄は、伊尹と兼通。

詮子…時姫の次女。円融天皇の后。

   子供は一条天皇だけ。道長の姉。

   彰子の父方の伯母。夫の母でもある。

   

円融天皇…兼家の姉の安子の三男。村上天皇の第五皇子で、安子の三男。兄の朱雀天皇から譲位された。

     彰子の父方の大伯父(おじいちゃんのお姉さんの子)に当たる。夫の父でもある。

     子供は一条天皇だけ。后は、たくさんいる。

彰子…当分出てこないけど、三人目のヒロイン。

   藤原道長と源倫子の長女。

   一条天皇の妻。紫式部が女房として仕えた。

一条天皇…円融天皇と詮子の子。

     定子(清少納言が女房として仕えた)や詮子(紫式部が女房として仕えた)の夫。

     他にも、妻がいる。

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