第5話 朱雀天皇の世
文字数 1,374文字
天徳4年、兼家様の父上、右大臣藤原 師輔 殿がお亡くなりになった。ご病気で、出家されようとなさったのに、帝がお止めなさったと聞く。帝の女御安子様は、師輔殿の娘。兼家様の異腹 の姉君。皇子様も、皇女様もお生まれだ。帝にとっては、頼りとする義父 上。
その師輔殿がなくなったのだから、右大臣家はおおさわぎだ。兼家様も、忙しく我が家に戻られては、大急ぎで衣を変えてまた出ていかれ、戻られては出ていかれ、ゆっくり他家 の女君 のところにお泊りになることすらできない。
自然、私との仲が深くなる。
次郎君と二の姫が相次いで生まれた。
このとき、兄上の伊尹殿は、従四位の上(たいしたことない)で蔵人の頭兼左近衛権中将。(これは、天皇の秘書で将来有望)まだまだこれからというところ。天皇の后は、妹の安子様。(これも将来有望)次兄の兼通殿は従四位の下中宮権大夫と兼家様は、正五位の下で少納言。まだ、力がない。当然、大臣になどなれない。
叔父に当たる藤原実頼殿が関白太政大臣に就かれる。しかし、実際は兄上の伊尹殿が政治を動かしておられた。
5月に、村上天皇がお亡くなりになり、東宮であった安子様の一の宮が朱雀天皇になられる。安子様には、皇子が三人いらっしゃったが、二の宮ではなく、三の宮が新しい東宮になられた。二の宮には、左大臣源高明殿の娘が后になっていらっしゃった。藤原氏の邪魔になる。叔父の実頼殿も、兄上の伊尹殿も、ぬかりなく事を運び、まんまと三の宮を東宮にした。当然、兄上の伊尹殿は自分の娘懐子様を女御として入内させ王子を手に入れた。この時の経緯を、出雲はよく知っていて、何かと私に情報をくれた。ちなみに、村上天皇から見ると、朱雀天皇は第二皇子で、二の宮は第四皇子で、三の宮は第五皇子だって。ああ、面倒。前世で第十三王子が後を継ぐ転生ものがあって、えーって思ったけど、平安時代の日本もすごいな。。。
安和元年、伊尹殿のすすめで、私の一の姫が朱雀天皇の女御として入内することになった。(ほかの家の姫君を牽制するためかしら。弟の娘なら、安心という思惑が見えるけれど。)それにしても!!帝の妻(の一人)になるなんて。一の姫が生れた時、「国母になるよ」という兼家様の言葉を、親バカ!!と笑っていたのに。当然ながら、我が家から女御が出たことは、ない。母(わたしだけど)の身分が低いうえに、兼家様もまだ公卿ではない。これで女御になれるのだから、伊尹殿の力はすごいものだ。
わからないことだらけで、かなり焦った。兼家様の実家には、何かと相談し、伊尹殿の姪として恥ずかしくないように準備を整えた。実は、転生先の時姫は、けっこう美人。兼家様はりりしくハンサム。一の姫超子は、どこに出しても決して他の姫に引けはとらない。(私も、親バカ。)
入内の準備は、豪華な調度品や様々な宝物を取り寄せ、美しい衣を縫いなど様々で、息をつく間もないほど目まぐるしいものであった。
私は、兼家様と文を交わし、兼家様がいかに私を思ってくださるか納得の上で婚儀を迎え、我が家の婿になっていただいたのだが。今では、兼家様が造られた家に招かれ女主人として住んでいて、正妻として重んじられている。
一の姫は皇子(みこ)と文を交わしもせず入内される。母の私と会うことも、めったにない内裏で幸せに暮らしていけるのだろうか。
その師輔殿がなくなったのだから、右大臣家はおおさわぎだ。兼家様も、忙しく我が家に戻られては、大急ぎで衣を変えてまた出ていかれ、戻られては出ていかれ、ゆっくり
自然、私との仲が深くなる。
次郎君と二の姫が相次いで生まれた。
このとき、兄上の伊尹殿は、従四位の上(たいしたことない)で蔵人の頭兼左近衛権中将。(これは、天皇の秘書で将来有望)まだまだこれからというところ。天皇の后は、妹の安子様。(これも将来有望)次兄の兼通殿は従四位の下中宮権大夫と兼家様は、正五位の下で少納言。まだ、力がない。当然、大臣になどなれない。
叔父に当たる藤原実頼殿が関白太政大臣に就かれる。しかし、実際は兄上の伊尹殿が政治を動かしておられた。
5月に、村上天皇がお亡くなりになり、東宮であった安子様の一の宮が朱雀天皇になられる。安子様には、皇子が三人いらっしゃったが、二の宮ではなく、三の宮が新しい東宮になられた。二の宮には、左大臣源高明殿の娘が后になっていらっしゃった。藤原氏の邪魔になる。叔父の実頼殿も、兄上の伊尹殿も、ぬかりなく事を運び、まんまと三の宮を東宮にした。当然、兄上の伊尹殿は自分の娘懐子様を女御として入内させ王子を手に入れた。この時の経緯を、出雲はよく知っていて、何かと私に情報をくれた。ちなみに、村上天皇から見ると、朱雀天皇は第二皇子で、二の宮は第四皇子で、三の宮は第五皇子だって。ああ、面倒。前世で第十三王子が後を継ぐ転生ものがあって、えーって思ったけど、平安時代の日本もすごいな。。。
安和元年、伊尹殿のすすめで、私の一の姫が朱雀天皇の女御として入内することになった。(ほかの家の姫君を牽制するためかしら。弟の娘なら、安心という思惑が見えるけれど。)それにしても!!帝の妻(の一人)になるなんて。一の姫が生れた時、「国母になるよ」という兼家様の言葉を、親バカ!!と笑っていたのに。当然ながら、我が家から女御が出たことは、ない。母(わたしだけど)の身分が低いうえに、兼家様もまだ公卿ではない。これで女御になれるのだから、伊尹殿の力はすごいものだ。
わからないことだらけで、かなり焦った。兼家様の実家には、何かと相談し、伊尹殿の姪として恥ずかしくないように準備を整えた。実は、転生先の時姫は、けっこう美人。兼家様はりりしくハンサム。一の姫超子は、どこに出しても決して他の姫に引けはとらない。(私も、親バカ。)
入内の準備は、豪華な調度品や様々な宝物を取り寄せ、美しい衣を縫いなど様々で、息をつく間もないほど目まぐるしいものであった。
私は、兼家様と文を交わし、兼家様がいかに私を思ってくださるか納得の上で婚儀を迎え、我が家の婿になっていただいたのだが。今では、兼家様が造られた家に招かれ女主人として住んでいて、正妻として重んじられている。
一の姫は皇子(みこ)と文を交わしもせず入内される。母の私と会うことも、めったにない内裏で幸せに暮らしていけるのだろうか。