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薫風
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『残す』
文字数 203文字
ぬるい風は駆け抜けず
肌に纏わりつきながら
体温を上げ倦怠を残す
騒がしすぎる世情の中にも
惰性に過ぎる日常の中にも
潜んでいる小さな安堵を
見つけては引き寄せつつ
心柔らかに平穏を残せば
遠回りも
迷うことも
間違うことも
きっとあるけれど
流されずに
染まらずに
風にぐらついても
立ち位置変えぬ
樹々のように
いたいから
今日の出会いに感謝して
時には自分を労いながら
優しい夜には優しい記憶を
温く纏わりながら残しゆく
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薫風
紫 梨絵
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