『雪の朝、まだ座っている』

文字数 396文字

除雪車の音で目が覚める

カーテンを顔ひとつ分だけ開けると
これでもかというように
舞いおちてくるたくさんの雪

外はまだ薄闇の中
早くも雪かきをしている人の姿

もう少し。
カーテンを閉めて布団をかぶりなおす
夜通し暖房をつけていても この温もりにはかなわない

と、除雪車の音が急速に近づいてきた
マンション駐車場の中を動きまわっている
静かに布団にくるまれていたいのに
このガガガガガガという音量は温もりすら飛ばしていく

起きろ、と言われているようにしか思えなくて
仕方なく立ちあがり電気をつけた
ミルクティを入れじんわり体の中を温める

徐々に薄明かりが差してきて
厚い雪雲があっても きちんと窓の外は明るくなる
電気を消しカーテンを開け放つ

再び窓の下を見ると我が家の車庫前に
降った雪と除雪車が残していった雪山が作られている
今日の私の宿題
げんなりしながら朝ご飯を食べ、新聞読み、スマホを開き

外に出る気にはならず 私はまだ座っている







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