『空はかわらない』
文字数 316文字
新芽が小さくついている
気持ち枝が背伸びしただろうか
ひとり眺める
両脇に木々が並ぶ小路
もったいないほどにひっそりと
さわやかな朝の空気が揺れている
人々が隠り静まりかえるなか
鳥だけが
生き物として声をあげていた
その声に
耳が必要以上に反応し
居場所を探し求めてしまう
ひとりぼっちの朝
世間はおうち時間絶賛充実中
多忙過ぎて 羨ましいとすら感じてしまう
被害妄想の通勤経路
静かすぎる朝に
私の脳は正常域からふと離脱してしまう
それでも
空はかわらずそこにあり
太陽は新芽を育て季節感をはこぶ
北の長い冬が終わったのだ
新しい春の息吹きをしっかり感じていれば
大丈夫だろうか
大地を踏み 空を見上げ 力強く
初出:2020年4月(コロナ禍緊急事態宣言下の通勤経路にて)