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薫風
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『乱視の夜』
文字数 204文字
目を細めて空を見る
二重の月に気をとられ
行き過ぎた道を戻る
目を細めて月を見る
ふたつあるうちのひとつは
存在していないことを確認する
あの双子のような星も
本当はひとつなのだろう
そう気付いたあとも
どちらが本物なのか自信が持てない
目を開いて足元を見た
本物に見えたこの道が
幻の方だったとしたら?
目を細めて前を見る
行き過ぎて戻ったこの道は
目的地へと続いているだろうか
迷いはきっと
乱視のせいだということに
そういうことにしたい夜
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薫風
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