『白い足跡』

文字数 350文字




雪の中の
人が踏みしめた
細い一本道を歩く

白く静かな朝
背筋を伸ばしサクサクと
向こうから歩いてくるブーツの彼女
短いスノトレの私

まっすぐ突き進んでくる様をみて
仕方なく一歩
降り積もった雪の中へ足を出した
靴の中にさらりと雪が入り込み 靴下を濡らす

彼女が通り過ぎたあと
また一本道へと戻る
そこには私の足跡が残った

ぽっかりと 23センチの足跡が
ひっそりと 人の歩く道に沿うように

そんな自分の足跡がどうしようもなく愛しく思えて
しばし見つめる
濡れた足は急速に冷えていく

もしかして
このあとこの足跡を利用して
道を譲る人がいるだろうか

見渡すと
同じように沿うように
一本道から外れた幾つかの足跡たち

何かを語りかけるように
自己主張があり皆愛しい
心はほんのり温まる

冷たい雪の中へ足を踏み出すのも悪くない
そんな気持ちにさせてくれた白い足跡







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