『雪と落ち葉とそのうち晴れ』

文字数 575文字




積雪と落ち葉のコントラスト
季節が交差する瞬間

雪の上にふんわりと落ちていく紅葉を
ああ、美しい、と思える心に安堵しつつ
横目に通りすぎた あの日
    
どんな風景でも
何を感じるのかはその時の心次第
どんな状況でも腐らず上を向く

何をしていても どう感じていても
時間は同じように過ぎていくから
ならば 今 自分が出来ることを

確実に 大切に
そして 誠実に

書き残す瞬間を逃しがちな
(せわ)しない日々の中にも
言葉が浮かび 溢れては
脳裏の海へと流される
どこへもたどりつけないものや
重さに耐えきれず海底に沈むものも

木船に拾われたり
島へたどりついたり
少しでも多く掬っていけるよう
脳裏に刻んでおきたいけれど

波に たゆたい
なかなか留まってはくれない
巡る思考とともに漂い続ける

言葉も去ってしまって戻らないものは
縁なのだと そう思い次へ進む
縁ある言葉は必ずや 凪にいるから


見えない明日を嘆いても進めない
ここに今日があるから
ただ、丁寧に刻むだけ

時には世の喧騒から離れ
心の声と向き合いながら
歩いてみよう
どんな空でも



雪が降ったあとの冬晴れの朝は
冷たい空気で満ちているけれど
気を引き締めてくれる清々しさ

雪の上に舞い落ちた葉のなかに
すっく、と立っている葉がいて
光の道を歩いて行きそうだった

その 小さいながらも凛とした姿と
長く伸びる影に 暖かな陽を感じ
優しく 力強い 声が聞こえる

明日はもっと晴れるさ



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