『紫陽花への想い』

文字数 664文字

紫陽花の色が抜けてきた

テレビや本からのイメージだろう
紫陽花=梅雨の時期=雨の花
そんな 印象を持っていた
淡く儚き花のイメージ

雨に濡れる紫陽花は趣深い
だが、この地で生きて 見て 感じるようになる
北海道での紫陽花の見頃は七月から八月にかけて

夏の花として紫陽花は咲く
カラッとした空の下に咲く

枯れてドライフラワーになっても
散ることはない
その場に留まり続ける花

ある友人の言葉
紫陽花は枯れても散らないのが苦手
なるほど
枯れてまでそこにしがみつくのか、と

パッと咲いてパッと散っていく桜が
日本の花の代表のように
その潔さに美学を感じるのならば
そうかもしれない

色が抜け
乾いても
その場に留まり続ける紫陽花が
無様な感じすらするのかもしれない
でも私にはそれが人間臭くて愛しい

どしゃ降りの雨でも
強い風に吹かれても
散ることなく踏ん張る

長く
強く
ひと夏耐え続ける
紫陽花の根性

花言葉は「移り気」

この辺は酸性の土壌が多いのだろう
ほとんどが青紫に色づく
青紫の紫陽花に添えられているのは
「粘り強い愛」

移り気とは対極にある言葉が
ついている不思議

花の咲き始めにスポットがあたり
枯れゆく姿に人は見向きもしない中
「粘り強い愛」とつけた人は
きっと紫陽花を最後まで見守ったのだと
そんな想像をしてみる

変わるのは「気」じゃない
たとえ見かけが変わっても
ずっと咲いていたい
その強い信念を感じるから

しなやかに
しぶとく。

私には足りないからこそ
惹かれてしまう紫陽花
だから
ひと夏咲き終えるのを
色褪せ枯れゆくのを
最後までしっかり見届けたい




※アイコンにもしている四つ葉型とハート型に咲いたお気に入りの紫陽花





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