『夏の匂いと細い月』
文字数 377文字
窓から吹き込む夜風が
夏の匂いになっている
夜の気配を纏う静けさの中
西日の熱をふくんだままで
鼻腔をくすぐってゆくから
深く吸い込んでみたりして
うつろう季節を味わう
窓辺に座ってプルタブを開け
グラスにビールを注ぐ
白い泡が 絶妙に立ち上がり
ジジジジとアナログラジオのノイズのような
小さな音を立てて 風に紛れていく
その溶け込んだ粒子を
また深く大きく吸い込む
1ミリだけ伸びた爪みたいな
細い細い月が浮いていて
わたしを喜ばせる
三日月や
それより細い月に惹かれてしまうのは
幼い頃から変わらない
細い月とアークトゥルスのツーショットを
最初に見たのはいつだったろう
思い出すのは小学生のわたし
三日月と一等星が寄り添う夜空に魅せられて
飽きもせず首が痛くなるほど見上げていた夜
今宵は細い月しか見えないけれど
それをつまみに
ひとくち
こくりと
喉を潤す
今日の疲れを泡へと溶かし
明日の気力へと繋げつつ
夏の匂いになっている
夜の気配を纏う静けさの中
西日の熱をふくんだままで
鼻腔をくすぐってゆくから
深く吸い込んでみたりして
うつろう季節を味わう
窓辺に座ってプルタブを開け
グラスにビールを注ぐ
白い泡が 絶妙に立ち上がり
ジジジジとアナログラジオのノイズのような
小さな音を立てて 風に紛れていく
その溶け込んだ粒子を
また深く大きく吸い込む
1ミリだけ伸びた爪みたいな
細い細い月が浮いていて
わたしを喜ばせる
三日月や
それより細い月に惹かれてしまうのは
幼い頃から変わらない
細い月とアークトゥルスのツーショットを
最初に見たのはいつだったろう
思い出すのは小学生のわたし
三日月と一等星が寄り添う夜空に魅せられて
飽きもせず首が痛くなるほど見上げていた夜
今宵は細い月しか見えないけれど
それをつまみに
ひとくち
こくりと
喉を潤す
今日の疲れを泡へと溶かし
明日の気力へと繋げつつ