『夏の中に青空』

文字数 266文字

飛ばされたパラソル
ビニールのワニ
カラフルな浮き輪と水着
足に引っ付いて離れないサンダル

青すぎる夏空を見上げ
遠い夏の日を思い出す

海の(あお)の中に
鮮やかすぎる色が氾濫して
息苦しくて溺れそうだった
あの暑苦しい真夏の日を

水しぶきをかける誰かの腕
反対側から激しいバタ足
波の上 ワニの背で 
ただ浮遊していた私

喧騒が苦手なくせに 
惰性で付いてきてしまった自分を悔やんだ

息苦しい 息苦しい
波の上で反芻していたら

空だけ迷うことなく純粋な青
雲ひとつ浮かばせずに
「大丈夫」と私を見守っていた

多彩な色に翻弄される今夏
空だけみていれば
己を見失うことはないのだろうか







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