『眺める』

文字数 506文字

        階段の影が
      背伸びするかのように
    白い路端に広がり落ちていた
  夜ひそやかに映し出される誰かの灯り
    雪上の縞模様に温もりを感じ
      ぼんやりと眺めていた
        月と一緒に






     池には薄氷が張っていて
   鴨がてってくてってく歩いていた
     あまりに愛らしいその姿
   池の畔 雪の上そっとしゃがみこみ
     飽きもせずに眺め続ける

     裸足で氷は冷たかろうに
   鴨はてってくてってくお構い無し
     あまりに飄飄したその姿
   友とどんな言葉を交わしてるのか
     仲良さげな二羽が美しい

     ふとこちらを向いた視線
   人っこ一人立ち止まらぬ曇天雪日
     君こそ寒かろいつまでも
   声かけられた気がして立ち上がる
     手足すっかり冷えていた






      じっと眺めている
      視点の向こうがわ
      淡い面影がうつる

      本の一頁のように
      ひらひらと捲られ
      両親や娘や友人や

      そして私が現れる
      過去にも未来にも
      自在に繋がりつつ

         眺 め る


 





 
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