『際立つ景色』

文字数 218文字

昼空に 
急な雨

見る見るうちに暗くなり
一気に景色を変えていく
人々はにわかに急ぎだす

湿度が高まり
空気中に雨の匂いが放たれる 
色彩の輪郭が鮮明になっていく

こんなとき
黙って雨に打たれていれば 
同じようになれるのだろうか

そう思いながらも 
私は
雨音が響く傘の下

守られた空間の中から
色づいたばかりの紅葉が 
雨とともに落ちていく哀しさと美しさを
しばらく見ていた

走る自転車から
しぶきをかけられてもまだ
際立つ景色に魅せられて

自身の
心の輪郭など
つかめぬままに















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