『晩秋と初冬の隙間で』

文字数 458文字

雪虫が飛ぶのを 
連日見かけるようになり
落ち葉が道を埋め尽くしている

ひたひたと
雪のにおいが
空気中に漂いはじめる

日ごと
ストーブをつける時間が増えてきて
娘がマフラーを引っ張りだす

庭の冬囲いが
どこの家庭でも完了しつつあって
その上を行きかう雪虫

夏、猛暑あとの秋は あまりにも短くて
もの悲しさを覚える

一番好きな季節のはざまで
ふっと余裕を無くした自分を取り戻すべく

今はただ
最後の秋の感触を探している

雪虫と
雪のにおいが
晩秋の宙を舞う その隙間の中に







▼雪虫に馴染みのない地域の方へ

雪虫とは、4㎜くらいの小さなアブラムシの種で、トドノネオオワタムシなど北海道では数種いるそうです。
春はヤチダモの葉裏で生活し、夏秋とトドマツの根でアリとともに生活。
ここで育った成虫が「綿をつけて初雪が降る数週間前に、ヤチダモに一斉に引越しする」ので、その白くふわふわ飛ぶ様子が雪のようなので、雪虫と言われています。
なので雪虫が飛び始めると、初雪が近いということになります。冬の訪れを告げる風物詩というところでしょうか。道産子には大変なじみのあるものです。

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