第9話 恐怖の天使
文字数 2,154文字
わざわざ自分の為にソロネを呼び出す魔導書をヤフオクで落札してくれたのだ。
しかも初落札だというのだから、恐らく目的の商品発見後にアカウントの作成をしたのだろう。
そこまで手間をかけてくれた彼女に、感謝の意を伝えないという選択肢はなかった。
魔法を覚えるには、このカチューシャを身に着けてね。
それだけで、全ての魔法が扱えるようになるよ。
魔力切れには気を付けて。
でも、エクアドルまでピスタチオを買いに行くの?
私は地産地消をモットーとしているの。
個人的には、近所のスーパーにお金を落とすのをお勧めするなあ。
スバルは少し躊躇しつつ、カチューシャを受け取った。
身に付けると何の体感も無かったが、少し念を込めただけで指先から炎が発生するようになった。
炎を眺めた後、スバルは小さく頷く。
やはり近所のスーパーでいいか。
それにしても凄い。こんなに簡単にライターの火みたいな炎を出せるなんて。
ぼくはゴミ捨ての魔法しか使えなかった。
投げたゴミが100%ゴミ箱に入る魔法さ。
魔法力が低いから、あとは座学で誤魔化していたよ。
そして見た目が美しいという理由で、骨まで食べられちゃうんだよ。
肉体を食べればその美しさを手に入れられると本気で思い込んでいる、安直で野蛮な人間社会の中で生きる事を強制されるところだったの。
そのカチューシャは永遠に持っていてね。
魔法を少しでも極めていこうね。
自分はどうやら、途方もなく勘違いだらけの阿呆なのではないかという疑惑が益々強くなっていた。
ペンを持つ手が震える。