第34話 残酷な天使
文字数 2,214文字
スバルはベッドの上でソロネと寝転びながら業務の事を考えていた。
勇者を誘導し、魔王を倒させる仕事。
しかし、勇者ミウラはスバルとはとても懇意になれない性格であった事が判明した為、彼を考えるだけで辟易した。
もしかしたら、お母さんの気配を感じ取ったのかもしれないね。
スバルちゃんはパーメットスコアが高いから、脳のタガが外れるとすぐに霊媒をしちゃうんだね。
霊媒が始まると、お母さんの魂の一部がいつもスバルちゃんを抱き締めていたね。
今は私がいるから、お母さんの魂は私に全てを託しているけれど。
ソロネが指をクルクルと回すと、テーブルの上にレース飾りのようなフチの小皿と、赤と緑と黄色のプレッツェルような形のグミが現れた。
霊視すると、大麻成分がなんと80%も含まれている。
それは既にエディブルと呼べるものではなかった。
スバルは恐る恐る赤い大麻菓子を手に取ると、そっと口に入れて噛み締めた。
次の瞬間、スバルは意識を失いそのまま目を閉じた。
気が付くと、スバルは空の上にいた。
ソロネが近くで優しく笑いかけている。
スバルは溜息を吐きながらミウラの気配がする方へと飛んでいく。
ソロネはスバルの後に続いた。
やがて、二人はミウラの元へ辿り着いた。
彼は彼女の一人と、学校の空き教室で性行為に勤しんでいた。
スバルは眉を顰めながら彼らの情事を観察する。
ミウラは狂ったように性行為を続けており、めぼしい情報を得るどころではないと判断した二人は帰宅することにした。
自宅に帰って元の体に戻ったスバルは、ゲッソリとしながら起き上がる。
全く興奮とスリルがなかった。
ピクリとも動かないのを確認しながら、ゆっくりと起き出して珈琲を淹れることにした。