第22話 加護の天使
文字数 1,668文字
スバルは勇者ミウラの通うというタカトウ高校の近くまで来ていた。
どうやって彼と接触しようか、近くのモスに入って考え込む。
ココアを啜り、肘を組んだ。
スバルはココアを二杯、丁寧に飲み干すと会計を済ませ、障害者用のトイレに向かった。
トイレの中で変身し、そのまま何食わぬ顔で店の外へと出た。
高校の門前に向かった途端、下校のチャイムが鳴る。
ルールーに扮したスバルは、門前で待機することにした。
長所を伸ばすしかないね。
それぞれ御経綸がある筈なんだよ。
でも向上心とポテンシャルを持たぬ人は、蟻地獄次元にハマったまま動けなくなるの。
スバルちゃんはめっちゃ目立ってたけど、実は危なかったんだよ。
不思議な話だけどね。
スバルは血の気が引くようになって、手の平の汗をギュッと握り締めた。
高校校舎から出て来る生徒たちはスバルの変身姿を見て感嘆の声を上げたが、そういった黄色い声が全く耳に届かなかった。
自分はどれだけ美しさを追求することが求められるのだろう。
自己認識の甘さを実感し、遥かなる果ての果てにある誠の美貌を磨き上げる決意を密かに固めた。
二人は硬く手を握り合い、打倒標的が門から出てくるのを静かに待った。
同時に、スバルは一抹の焦り、そしてソロネのとこしえの加護の可能性を知り、跳ねるような気持ちを抑えるのに精一杯だった。