第17話 注意の天使
文字数 1,697文字
それは、腕時計を模したブレスレットだった。
まさか変身要素が出て来ると思わなかったので、意表を突かれたようだった。
単刀直入に言うと、悪の秘密結社です。
従業員は魔王と私、あなたのみですが。
基本給は147万。
残業代は時間毎に14万ずつ支給されます。
最高で40時間まで残業出来ますが、超過が出た場合は絶対に申請してください。
何やら絵が描いてある。
玉座の間にて、未だ魔王スケアクローは泡を吹いて倒れていた。
スバルは顔を顰め、転倒している魔王の処置をどうするか訊ねる為に再び事務室の扉を開いた。
すると、何やら独り言が聞こえてきた。
「勿論だよ。ドミニオン」
いや、でも彼は本当に明日も出勤するか…。
「心配なの?それより、安易に時空魔法を使うのは良くないでしょ。ここは土魔法で対処すべきだったよ。時空が歪むよ。また尻拭いに奔走したいの?」
そうかも。
駄目だったか……。
あの人の正体は、全知全能のみろくだよ。
一部では末弟のボンとも呼ばれているね。
チャネリングでの会話は基本、独り言だからね。
スバルちゃんも、私との会話であんな風に見えることもあるかも。
気をつけようね。
ここ幽現界でのみ行う事が出来る、時空を越えた会話だね。
スバルちゃんは私としかアクセス出来ないようになっているけど、ドミニオンはいろんな人と繋がってしまうから混線との戦いも同時に行っているよ。
力があるからといって、それを振りかざすだけでは真の意味で高次の存在とは言えないよ。
感情をコントロール出来る知性と、例え相手がどんなクズだろうと赦しの心を兼ね揃えて行く必要があるんだよ。
高次の存在は特にね。