第35話 禁断の天使
文字数 2,202文字
翌日、スバルが力無く出勤すると、玉座の間にて魔王スケアクローが大音量でアダルトビデオを視聴していた。
スバルは驚き慄き、持ちうる限りの全ての憎しみを込めた目で魔王を見つめた。
絶望心を引きずりながら、キリキリと痛む胃を抑えて事務室へと向かう。
いつもの通り、ドミニオンがパソコンに向かう後ろ姿があった。
なるほどね。
ドミニオンは根っからの、会社に寝泊まりして仕事に熱中し過ぎるタイプってことね。
こういう人が一人でもいると、会社全体の姿勢と覇気に関わるよね。
そしてそれをあちこちの会社で行い、業界全体の業務認識ハードルを上げてブラック企業化させる元凶ってことだね!
働き者の皮を被った害悪な人間だね。
事務室にドミニオンを悲しみの悲鳴が響き渡る。
一方、玉座の間では
「びしょ濡れ!禁断の人妻独り占め!〜背徳の快楽道〜」
というアダルトビデオを視聴する魔王スケアクローが、違う意味で絶叫していた。