第30話 阿吽の天使
文字数 1,841文字
ワイングラスにファンタグレープを注ぎ、静かに飲み干す。
人間は肉体・精神共に疲労が蓄積すると、其れを修復をかけるか更に負荷をかけるかに分岐するという性質を持つ。
この場合は、レスベラトロールという葡萄に含まれるポリフェノールの一種を摂ることで修復作用を上げることが出来るが、負荷をかける性質に傾くと炭酸水を欲するようになる。
これは血中のカルシウム濃度を上げる効果があるのだが、疲弊時に摂取すると結石が出来やすくなるというリスクが発生する。
男性の場合、ストレスに晒されると更に負荷をかけやすくなるという傾向があり、この場合は死期を早める行動を無意識に取ってしまう事を意味する。
ここまではさわり程度の認識で、ここから先は神霊心理の領域になってくるのだが、書き出すと長くなるので割愛させて頂く。
項羽に変身すると、自分の不所持だろう能力が不思議と引き出された。
これは本人の霊魂を召喚出来る装置のようだ。
自分が変身姿のテンプレートに入れられた暁には、頭の回転が通常の3400倍になるだろう。
それはほんのりと自覚があった。
完全に苦のない世界というのは有り得ないからね。
たまの毒舌は、ツイスター・ケリュケイオン。
バトルエンカウントだね。
どうしても、どんなに仲が良くても戦う必要が出て来るの。
隣にソロネがふんわりと寄り添い、共にベッドに横になった。
スバルはソロネの金色の髪を見たり触ろうとしたりしたが、五分も経たずに静かに寝落ちていった。