第36話 滋養の天使
文字数 2,232文字
パソコン椅子に座りながら、ドミニオンが缶コーヒーを渡して話を始める。
みんなの仕事です。
今回、スバルさんは修業の為にこの仕事を試練として架されましたが、本来君はアイドルとして活躍すべきなんです。
ミウラやスケアクローが足元にも及ばぬような華やかな舞台で、彼らの財産が空になるまで貢がせる勢いで活躍しなければならないんです。
一目見ただけで鼻血の噴水を吹き出させて昏倒させる程の美しさと芸の高さを見せつけないといけない。
ファンを芸と容姿だけで喜ばせられないことがイコール罪になるレベルだよ。
スバルちゃんは孤高の存在でなければならないんだ。
天然水の柔らかい甘さが、コーヒーのアロマティックな風味と相乗効果にて高められ、驚く程の旨味が引き出されているものだった。
スバルは少し驚いて缶コーヒーの外装を確認する。
覇道コーヒーと書かれたそれを見た後で、再びドミニオンに視線を戻した。
つまり程度が低過ぎて。
サンスクリット語は反転の文字だから、ノボルちゃんは逆立ちしても見たくないって言ってるみたいだよ。
魔王スケアクローは今度は
「イケイケ!鶯谷より川崎美女!嗚呼無常!」
という表題のアダルトビデオを鑑賞し、大いに盛り上がっていた。
スバルとドミニオンは顔を顰め、先程よりも大きな溜息を吐いた。