第23話 残酷の天使
文字数 1,868文字
下校をする生徒を幾人も見送ったのち、一際目を引く女の子に囲まれて玄関から出て来る男の姿を確認した。
目標の人物発見。
スバルは勇者ミウラの姿を捉えた。
そっと彼に近付く。
ルールーに扮したスバルは、ミウラにそっと手紙を渡した。
ファンシーな封筒とシールが貼られたそれは、どう見てもラブレターのような雰囲気を醸し出していた。
先程、モスにて即席で書き上げたものだった。
ミウラはニンマリと笑うと、スバルから手紙を受け取る。
スバルは苦虫を噛み潰したような顔になり、ソロネの方向をそっと向いた。
ソロネは全てを悟ったような顔をして、そっとスバルに顔を近付けた。
スバルは胸が悪くなるような感覚になり、よろけて門に寄りかかった。
歪むだろう。
心の中で、小さく呟いた。
完全に壊れている。
スバルはそう判断し、そっと彼の前から立ち去った。
暫く進んだ先で、そっとマックに入るとトイレで変身を解いた。
チーズバーガーとコーラを注文し、席に着くとそのまま項垂れた。
殆どの場合、男性からの性的虐待は抑圧からの突発的行動、そしてトラウマの連鎖からだね。
言い出せないのもあるよ。
男性は我慢し過ぎてしまう。
だからこそ、女性の強姦問題に本当に腹が立つみたいよ。
自分は我慢しているのに、どうして女は我慢出来ないんだ、と。
スバルは陰鬱な気持ちになりながら、運ばれてきたチーズバーガーとコーラを受け取ると、小さくバンズに噛みついた。
チーズの旨味が口の中に広がる。
同時に、まるで砂を噛むような気分になり、宇宙が抱えるとんでもない負の念の塊を考え、肩を落とした。