第37話 転輪の天使
文字数 2,084文字
勇者と魔王は赤い糸で結ばれている。
彼らはいつかの世で婚姻を結ぶかもしれないし、対立する関係性を築くかもしれない。
対となる彼らの相関図を書き出している内に、ツインレイという言葉が導き出された。
大抵の場合、魔の攻略は面倒極まりないとして皆忌避するよ。
それを勇気を出して立ち向かうのが、勇者としての姿勢であるよ。
そうして、常に謎掛け論を出し合って切磋琢磨するのがツインレイとしての真の在り方と言えるね。
そう言ってスバルはそばの椅子に座り込んだ。
魔王と勇者の個人的な軋轢なんぞ知ったことか。
自分は自分の使命を果たすべきだ。
そう考えていた。
ソロネは小さく頷くと、魔法を使って半透明のスクリーンを事務室内に発生させた。
魔王スケアクローの過去生と経歴が映し出されていく。
釈迦の道は万人に共通する使命であるので。
スバルちゃんは、ノボルちゃんに永遠に阿羅漢止まりだと言われていたね。
阿羅漢とは釈迦以外の存在から仏道を学ぶ者という意味だけど。
スケアクローは、釈迦の心を読み解いたんだ。
天上天下唯我独尊。
そのように生きると、それが自分の仏性だと何度も主張している。
ひとしきり話終わってから、ドミニオンは給湯室から缶飲料を持ち出した。
オレンジロードと書かれたそれを、スバルに渡す。
三人は取り敢えず落ち着き払い、勇者ミウラを誘導すべく作戦会議を始めた。