第20話 真実の天使
文字数 1,685文字
スバルは変身コスチュームのダウンロードを終えると、早速試し変身を行うことにした。
ブレスレットを左手にはめ、念を込める。
眩い光に包まれ、スバルは紫の髪の猫耳ヘッドの少女の姿に変身した。
細い脚に、オーバーニーの靴下がピッタリとハマる。
二人が話し込んでいると、突然事務室の扉が開いた。
両手にスーパーの袋を携えたドミニオンが目を丸くしている。
スバルは瞬時に変身を解き、ルールーの姿から美少年の姿に戻った。
スバルの姿を確認すると、ドミニオンはホッと胸をなでおろした。
いいえ。
建前上、魔王スケアクローが雇い主になっております。
私は裏で糸を引いていますが、これも影の雇用主に従っているだけに過ぎません。
とにかく、スバルさんは上手い具合に力をコントロールして、勇者を殺さない程度に導いてください。
新しい世界の舞台を作るのが、ノボルちゃんのお仕事だよ。
ノボルちゃんが創った世界の中で、私達は糸に繋がれているようでしっかり切れた状態で踊りきる事が求められているの。
今回の世界創生も失望の嵐だったので、ノボルちゃんは新しい世界作りに取り掛かる事にしたんだね。
スバルちゃんは、取り敢えずここでミッションクリアしよう。
確実にレベルアップ出来るね。
スバルは事務室の隣の給湯室で茶の準備をし、ドミニオンに茶を出した。
済まなそうにするドミニオンに軽く会釈し、自分も隅の席について弁当を食べ始める。
魔王スケアクローは、隣の玉座の間にてドミニオンお手製のフランス料理を一人で食べていた。
エスカルゴらしき料理を食べる彼の姿を見て、スバルは胸を悪くしながら自分で作った可愛いを詰め込んだ弁当を食べ尽くした。