第4話 確証の天使
文字数 2,097文字
ソロネは巨大な羽根と金色に輝く光輪を背中に背負っていたが、誰一人として彼女に気付く者はなかった。
教科書類を確認すると、全ての内容が理解が可能となっており、スバルは優越感に浸る。
数学は全て幾何学の為に存在し関数を前提として考えると、こんがらがった糸が何もかも解けていくよ。
ここではいやらしいひっかけ問題がないから、何もかもが空気のように感じられるね。
彼は眼鏡三兄弟と呼ばれる奇人変人組の長男と言われていた。
ソロネによる助言と確定的な返答により、ノボルの言葉に対して疑問と嫉妬を抱くことなく、心の距離を保つことで冷静に対処が可能となった。
スバルはいつもノボルと喧嘩し、彼に返り討ちにあっていた。
苦虫を噛み潰したような顔で、筆箱のチャックをあける。
教室の一番前の席に戻り、静かに席に着くと練り消しを練り始める。
その様子を、スバルは少し不機嫌な様子で見つめていた。
ノボルは授業中に爆睡し、大鼾をかいていたとて、指名されると即座に問題を解いていた事を思い出す。
彼もまた、超人的な理解力と膨大な知識を蓄えていたことが今なら分かる。
スプリットタンの経験や覚醒剤酷似成分の乱用などをクラスメイトの耳に入れる訳にはいかない。
チャイムの音と共に、スバルはある種の優越感と落胆とが入り混じった感情に翻弄されるのを、グッと我慢していた。