第3話 辛口の天使
文字数 2,017文字
いつもなら出現後1時間以内にソロネは煙のように消えてしまうが、魔導書による召喚後は全くその気配はなかった。
ソロネは優しい笑顔を向けてスバルに話しかける。
スバルがそっと手を出すと、ソロネは白い手を差し出す。
金属製のカチューシャが彼に渡った。
幾つもダイヤモンドがあしらわれた、見事なティアラだった。
鉱山での強制労働生活なんて生易し過ぎる、恐ろしい奴隷人生だったよ。
カマは掘られるし、日々消耗するだけで全く利はないし、全てを失ったにも関わらずスバルちゃんは海の藻屑にもなれずに、今よりずっとずっと苦しい環境に身を置くことになっていたよ。
スバルはカチューシャを装着し、そのまま椅子に座り込んだ。
頭の中にあらゆる知識が入ってくるといった感覚はないが、何故か目の前のテーブルは木製ではなく実は合成樹脂製である、と理解が可能となった。
今後、シュリヤントラ・コロニーにおける御経綸組にスバルちゃんは仲間入りするから、生まれながらに背負った星を輝かせ続けないと、永遠に竹槍の雨の中を歩くだけになるよ。
このくらいのテコ入れは当然だよ。
高貴な身分に生まれた自覚を持とうね。
スバルは信じられない想いでソロネに視線を向ける。
自分が希望の星の、可愛い四天王に所属する大スターになる?
それだけで心は春のようになって、スバルは高揚する精神を落ち着けるのに精一杯だった。
二人のやりとりは、朝方まで続いた。
就寝時間が遅れた為、添い寝の時間は30分だけとなった。