第24話 乙甲の天使
文字数 1,983文字
スバルは陰鬱な気分を引きずりながら、静かに会社に戻った。
表札を確認すると、代表取締役 魔王スケアクロー とあった。
ここまで勇者ミウラを誘導しなければならない事を考えると、更に重い気分になる。
ソロネに三重バリヤーをかけて貰ってから、スバルはアルミサッシの引き戸を開けた。
スバルは瞬時に顔を顰めると、静かに頭を振った。
スバルは踵を返し、事務室に向かった。
事務室ではドミニオンがパソコンに向かって作業を行っている。
スバルの声を聞き、ドミニオンは作業の手を止めると回転椅子の位置をずらしてスバルの方へ振り向いた。
事務室から静かに出ると、玉座の間では大音量の痴態の声が響いていた。
巨大スクリーンに、全裸の女性が肥った男性に組み敷かれている画が映っている。
映像を観ながら魔王スケアクローは己のイチモツを握り、声を荒げていた。
スバルは穢い物を見るような顔をして、静かに会社から退散していった。
精神的疲労感がとんでもない事になっていた。
バリヤーを解いて貰ってから、大きく息を吐く。
二人は手を繋ぎ、そのまま徒歩四分先にあるハンバーグ屋に入っていった。
いつものメニュー、そしてソロネに珈琲とパフェを注文し、スバルは静かに頭を抱えた。
会話が途切れる頃に、テーブルに爆弾ハンバーグとパフェと珈琲が運ばれてきた。
スバルはペーパーナプキンを付けると、パフェと珈琲をソロネに渡してハンバーグにナイフを入れ始めた。