第41話
文字数 1,061文字
「侵入者みたい」
少し間があってからヒミに伝えた。
「事件? 」
「大丈夫だと思うよ。あそこのカフェに入ろうか」
「いいわね。のどが渇いてきたところだから」
「ヒミが送ってくれたように、イベントで応募されたスイーツのポーションはあそこで試食できるよ。そこのテラス席にしよう」
KZは椅子を引いてヒミを座らせた。
「生意気な」
憎まれ口をたたきながらも嬉しそうに笑うヒミにKZはキャンペーンで応募されたポーション・メニューを見せた。
「さあ、試してみよう。このページが既存のスイーツ店の推薦メニューだね」
「あ、【スワン・カフェ】のふわトロのパンケーキだ。食べたかったんだ。本当はウチもこれを送るつもりだったのに」
KZは悪戯っぽく大げさな仕草で反応した。
「危ないところだった。この店を推しで送っていたらヒミのエントリーは埋もれていたよ」
「そうか。ラッキーだったな。あれ、もう並べられている」
「一瞬だよ。この世界ではね」
先ず、ヒミはナイフを横にしてパンケーキを優しく触り弾力を愛でた。
「ふんっわふんわぁ」
KZもヒミに倣った。そして一口サイズにカットし、二人は同時に口に入れた。
口から消えても舌にほんのり残る余韻の幸せさに後押しされ、彼は目指す世界について思いを話し始めた。
「あの塔を象徴としたセントラル・ポイントこそ、魂の聖地にしたいと思っていてね。
仮想現実とされる世界が魂を宿らせるようになった時、人類は物理的現実との優位性が揺らいで新たな時代と対峙するのだと思う」
KZはヒミの様子を確認した。久しぶりに心許せる友と一緒にいるせいで、ひとり悦に入ってハイになっている気がして我に返ったのだ。
「うん、どうした。急に弱っちくなったみたい」
「キメエって、引かれたかなと」
「うぅう~んっ。楽しいよ」
「・・・・よかった。そうだ、ヒミのポーションもボクの特権で呼び出そうか。ただ、少し解像度は低いけど」
「だよね。ウチのヘッドセットは萎える程ボロ助だからさ」
「他には誰も知らないからさ。この【スワン・カフェ】のパンケーキみたいなのは多くの人が送ってくれるから完璧になるんだ」
「ならば、今は止めよう。
菓乃とも出会ったんだ。ホテルの部屋に呼んでみんなでリアルな世界で一緒に食べるのがいい」
妃美香はそう言葉にしたが、フウとマリコの会話が頭をよぎった。不安になって念を押すように言った。
「いいでしょ」
「いいさ。
ふふ。ヒミのその感じ・・・・助かるよ」
「何が? 」
「大丈夫。話を続けるよ」
「もちろん。好きなだけ気にせず喋りな」
「ありがとう」
KZは思いを再び語り始めた。
少し間があってからヒミに伝えた。
「事件? 」
「大丈夫だと思うよ。あそこのカフェに入ろうか」
「いいわね。のどが渇いてきたところだから」
「ヒミが送ってくれたように、イベントで応募されたスイーツのポーションはあそこで試食できるよ。そこのテラス席にしよう」
KZは椅子を引いてヒミを座らせた。
「生意気な」
憎まれ口をたたきながらも嬉しそうに笑うヒミにKZはキャンペーンで応募されたポーション・メニューを見せた。
「さあ、試してみよう。このページが既存のスイーツ店の推薦メニューだね」
「あ、【スワン・カフェ】のふわトロのパンケーキだ。食べたかったんだ。本当はウチもこれを送るつもりだったのに」
KZは悪戯っぽく大げさな仕草で反応した。
「危ないところだった。この店を推しで送っていたらヒミのエントリーは埋もれていたよ」
「そうか。ラッキーだったな。あれ、もう並べられている」
「一瞬だよ。この世界ではね」
先ず、ヒミはナイフを横にしてパンケーキを優しく触り弾力を愛でた。
「ふんっわふんわぁ」
KZもヒミに倣った。そして一口サイズにカットし、二人は同時に口に入れた。
口から消えても舌にほんのり残る余韻の幸せさに後押しされ、彼は目指す世界について思いを話し始めた。
「あの塔を象徴としたセントラル・ポイントこそ、魂の聖地にしたいと思っていてね。
仮想現実とされる世界が魂を宿らせるようになった時、人類は物理的現実との優位性が揺らいで新たな時代と対峙するのだと思う」
KZはヒミの様子を確認した。久しぶりに心許せる友と一緒にいるせいで、ひとり悦に入ってハイになっている気がして我に返ったのだ。
「うん、どうした。急に弱っちくなったみたい」
「キメエって、引かれたかなと」
「うぅう~んっ。楽しいよ」
「・・・・よかった。そうだ、ヒミのポーションもボクの特権で呼び出そうか。ただ、少し解像度は低いけど」
「だよね。ウチのヘッドセットは萎える程ボロ助だからさ」
「他には誰も知らないからさ。この【スワン・カフェ】のパンケーキみたいなのは多くの人が送ってくれるから完璧になるんだ」
「ならば、今は止めよう。
菓乃とも出会ったんだ。ホテルの部屋に呼んでみんなでリアルな世界で一緒に食べるのがいい」
妃美香はそう言葉にしたが、フウとマリコの会話が頭をよぎった。不安になって念を押すように言った。
「いいでしょ」
「いいさ。
ふふ。ヒミのその感じ・・・・助かるよ」
「何が? 」
「大丈夫。話を続けるよ」
「もちろん。好きなだけ気にせず喋りな」
「ありがとう」
KZは思いを再び語り始めた。