第38話
文字数 1,368文字
「現実社会のリアルさと何気に異世界アニマルのぬいぐるみも日常生活を送みたいなるふざけた非日常の共存。セントラルポイントを中心としたショッピングエリアが縮図でね。
この変態な秩序、気持ち良くない?
ほら、目が一つで丸い四つもの耳がぐーぱーしているようなパンダっぽい生き物がクレープ屋さんに並んでいる。人間たちがどれだけ性癖匂う趣味を生きても平和な世界なんだ。
ファッションだって人目を気にすることなく楽しめる。こんな感じでね」
今日のKZはシックなネイビーのタータンチェック・スーツとワインレッドのパナマハットの装いであった。
「はい。そのように思います」
「何? 敬語になってる」
「中の人はフウなんだと・・・・理解はしているのですが、サイバー・ワールドではカリスマKZであって、ウチの推しでございましてですね・・・・。
アアア、語りだすと恥ずかしくなるから止~めた」
「照れているヒミちゃんなんて。昔よりも素直な姿が見れた感じで新鮮だね」
「あん? 何を言ってるんよ。生まれてからずっと素直じゃ」
「ふり幅がでかいんだね」
「うるさいって」
内心は素直になれず青い情緒に溺れているからこそ乱暴に返してしまう。
「大人になったってことでいいだろ。最後に三人が一緒に会った菓乃の誕生日会から、お互いそれぞれの場所で乗り越えた日々があったんだから成長してるさ。
そっちは、ファス・・・・なんたらになっているし」
「フウ・ファスビンターね。アハハハ」
「笑うなよ、こっちは色々気を遣ってるんだぞ。
でさ、辛くなかったん? 」
予想外に素直な優しさを出したヒミに少し戸惑いながらも、フウは正直な気持ちを答えていた。
「辛くなかったよ。あの後すぐに海外へ行って、ルールの違う社会で生活するとなった時、これまでの日常なんて気にする余裕もないからこそ感情のリセットが強引にされたからね。
そんなボクに比べて、残された二人には申し訳ない」
「そうなんよ」
口を斜めに歪めて悪戯な笑顔を見せたヒミに安心したように少年は言った。
「イメージをちゃんと死守して成長してるから、カッコイイよ」
褒められている今の状況が急に恥ずかしくなったパンクなアイドルは話題を変えた。
「まあ、それはどうでもいいけど、ウチのアバターのファッションスタイルのカスタムしてくれたんね。このメイド服はめちゃ性癖に刺さる麗しさで神だわ」
ヒミはショーウインドウの前で、何度もゆっくり回りながら全体を鑑賞した。特に赤い糸で蛇とバラが施された刺繍を何度も指でたどり触れていく。その指先の流れがKZにとって何物にも代えられない喜びに思えた。
「嬉しい。気に入ってもらえて良かった・・・・なんだけど」
「え? 」
「その刺繍はステイタス認証CODEの役割も担っていて、いつでも君を見つけられるようになっている」
KZのその一言にヒミは素早く反応した。
「怖ッ。服を変えます」
「否、ごめん。うふふ。それは服を変えても浮かび上がってくるタトゥー・コードだから。
ただ、怖がるような事は無いよ。
ヒミをこの世界と繋げる、超特別ステイタスのパスポートなんだから」
「これが? 本当に? 」
「ちょっと来て」
KZはヒミの手をグイっと握り、ショーウインドウから少し離れた、歩道と車線の境にあるレンガに乗るように促した。
すると、天空へ延びる薔薇の巻き付く光の塔が目に入った。
この変態な秩序、気持ち良くない?
ほら、目が一つで丸い四つもの耳がぐーぱーしているようなパンダっぽい生き物がクレープ屋さんに並んでいる。人間たちがどれだけ性癖匂う趣味を生きても平和な世界なんだ。
ファッションだって人目を気にすることなく楽しめる。こんな感じでね」
今日のKZはシックなネイビーのタータンチェック・スーツとワインレッドのパナマハットの装いであった。
「はい。そのように思います」
「何? 敬語になってる」
「中の人はフウなんだと・・・・理解はしているのですが、サイバー・ワールドではカリスマKZであって、ウチの推しでございましてですね・・・・。
アアア、語りだすと恥ずかしくなるから止~めた」
「照れているヒミちゃんなんて。昔よりも素直な姿が見れた感じで新鮮だね」
「あん? 何を言ってるんよ。生まれてからずっと素直じゃ」
「ふり幅がでかいんだね」
「うるさいって」
内心は素直になれず青い情緒に溺れているからこそ乱暴に返してしまう。
「大人になったってことでいいだろ。最後に三人が一緒に会った菓乃の誕生日会から、お互いそれぞれの場所で乗り越えた日々があったんだから成長してるさ。
そっちは、ファス・・・・なんたらになっているし」
「フウ・ファスビンターね。アハハハ」
「笑うなよ、こっちは色々気を遣ってるんだぞ。
でさ、辛くなかったん? 」
予想外に素直な優しさを出したヒミに少し戸惑いながらも、フウは正直な気持ちを答えていた。
「辛くなかったよ。あの後すぐに海外へ行って、ルールの違う社会で生活するとなった時、これまでの日常なんて気にする余裕もないからこそ感情のリセットが強引にされたからね。
そんなボクに比べて、残された二人には申し訳ない」
「そうなんよ」
口を斜めに歪めて悪戯な笑顔を見せたヒミに安心したように少年は言った。
「イメージをちゃんと死守して成長してるから、カッコイイよ」
褒められている今の状況が急に恥ずかしくなったパンクなアイドルは話題を変えた。
「まあ、それはどうでもいいけど、ウチのアバターのファッションスタイルのカスタムしてくれたんね。このメイド服はめちゃ性癖に刺さる麗しさで神だわ」
ヒミはショーウインドウの前で、何度もゆっくり回りながら全体を鑑賞した。特に赤い糸で蛇とバラが施された刺繍を何度も指でたどり触れていく。その指先の流れがKZにとって何物にも代えられない喜びに思えた。
「嬉しい。気に入ってもらえて良かった・・・・なんだけど」
「え? 」
「その刺繍はステイタス認証CODEの役割も担っていて、いつでも君を見つけられるようになっている」
KZのその一言にヒミは素早く反応した。
「怖ッ。服を変えます」
「否、ごめん。うふふ。それは服を変えても浮かび上がってくるタトゥー・コードだから。
ただ、怖がるような事は無いよ。
ヒミをこの世界と繋げる、超特別ステイタスのパスポートなんだから」
「これが? 本当に? 」
「ちょっと来て」
KZはヒミの手をグイっと握り、ショーウインドウから少し離れた、歩道と車線の境にあるレンガに乗るように促した。
すると、天空へ延びる薔薇の巻き付く光の塔が目に入った。