第35話:アルハンブラ宮殿見学5

文字数 1,597文字

 現在のアルカサバはムハンマド1世によって建設された。彼は城の周りを城壁で囲んで防御を高め、さらに三つの塔「ケブラーダの塔、オメナッヘの塔、ベラの塔」を建設しアルカサバを真の要塞に変えた。ムハンマド1世とムハンマド2世はナスル朝宮殿の建設が終了するまで「息子のムハンマド2世が統治をしている間」アルカサバを実際の住居として使用していたが宮殿の建設終了後は軍の要塞としてのみ使用された。

 キリスト教徒たちはアルカサバの大々的な補修工事を行いました。アルカサバは長い間、各時代で ―フランス人による占領の時期も含め― 監獄の役割を果たしていました。アルハンブラと同様にアルカサバは長い間放置され、全く手入れされることがありませんでした。修復作業や調査は19世紀の終わりから20世紀の初めに始まりました。アダルベの庭園はアルカサバの入口にある。

 この名前はアルカサバにある城壁上部の通路に由来している。最も美しい町の景色を見ることができる場所の一つです。庭園の西の端には見晴らし台があり、そこからベルメハスの塔を繋ぐ城壁が始まっている。この城壁にはフランシスコ・デ・イカサの有名な詩が記されている。アラブ人によってアルマスの塔と呼ばれていたこの塔は北側の城壁にありアルカサバの城壁の外側に造られた。

 アルマスの塔のおかげでアルマンソラ地区を通り抜けることでアルハンブラとグラナダ市内を最短距離で行き来できる。塔の入口は裁きの門よりも古く、レンガ製で先のとがった馬蹄形のアーチが付いており、白、黒、緑の上薬をかけた花綱装飾が施されている。このアーチを通って内部を抜けるとこの他にももう二つ同じ形のアーチが左右にあり右側のアーチは衛兵のための部屋へと続いている。

 さらにその部屋の先には二つのアーチがありアルカサバの一番外側の城壁、塔の出口に繋がっている。アルマスの広場はアルカサバの本来の入口でした。広場には兵隊たちの住居があり小さな町のようになっている。東側には大きな貯水槽の建物が二つあり雨水を溜めておく場所になっていたが17世紀以降はアルハンブラの用水路から水が流れてくる様になった。貯水槽の近くアルカサバの扉の左側には浴場がある。

 広場には様々なアラブ人の家の土台が見られるが、そこでは使用人が必要に応じて王や兵隊に仕えていた。またケブラーダの塔の近くには大きな地下牢がある。ベラの塔のフロアは縦横が16メートル、高さが26.8メートルで、また四階建てで柱付きのアーチがある。一時この塔は要塞ではなく住居として使用されたので本来の塔とは様相が変わった。二階部分には16世紀まで銃眼付きの胸壁があった。

 現在西側のファサードにある鐘楼は1840年にできたが、1882年の落雷で崩壊したため、後に再建された。鐘はこの塔の最も重要な部分。昔は鐘の音が夜間に時間を知らせる役割を果たしており、この鐘の音を聞いてラ・ベガ地区の農民たちは畑に水を撒いていた。夜の八時から「季節によっては九時半」鐘が鳴り始め、異なった音程と鐘のつき方で朝の三時、季節によっては四時まで鳴り続けた。

 この鐘は非常時、それを人々に知らせるのにも使われた。毎年一月二日はカトリック両王がグラナダを取り戻した記念日となっているが町の未婚女性が金を鳴らすとその年が終わる前に結婚できるという言い伝えがある。塔から見える景色はとても素晴らしく町並み、シエラ・ネバダ山脈、ラ・ベガ地区、周辺の小さな町を見渡せる。庭の光景は、筆舌に尽くしがたいと言うか、1日で全部を回るのは非常に疲れた。

 ただ、これだけは言える。死ぬまでに行けるなら、是非、行っておくべき場所であることは間違いない。今晩、フラメンコショーへ行くと良いと、ホテルで奨められたが、疲れてとても、そんな気分になれず、夕食をとって、シャワーを浴びたら、直ぐに、床について熟睡した。
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