第49話:茂田先輩の葬儀

文字数 1,207文字

 茂田先輩の家に行って、何か遺言はないかと、澄子さんに聞くと、もしもの時は、俺の机の一番上の引出に入れておくと言われたと話した。開いてみると封筒が入っていて、書き出しが、次の様になっていた
「甘太、もし、この手紙を見る時、俺は、あの世に旅立っているだろうとの文句で始まっていた」続いて、「お前は小さい時、俺に、まるで腰巾着みたいにくっついていたな、今でも、その光景が目に浮かぶ」

「でも素直で可愛い奴なので、面倒見て、いろんな事を教えたっけ、本当に懐かしいよ」
「何か、お前と俺は、見えない糸で繋がり、本当の兄弟以上の強い絆で結ばれているのかも知れない」
「だから、俺は、お前にできるだけの協力をし、おまえは素直に俺に着いてきた」
「お前は、本当に心根の優しい子で、自分の実のお姉さんに宿の部屋を借りて、宿の手伝いや、地域、農協、漁協の手伝いをしていた」。

「勉強する暇もなく便利屋のような仕事をこなしていて、金も無かったので面倒を見た」
「しかし他人には好かれる性格で、その後の人生は楽しかった本当にありがとうと書いてあった」
「俺に何かあった時、俺の通帳は澄子に渡してあるから協力して会社の運営を一緒にやって欲しい」
「そして困っている人や大災害に遭った人のために使って欲しい、よろしく頼む」

「文面はこれで終わっていたが涙の後と思しき後があり、見ていた甘太も目に、涙があふれた」
「その後、号泣し、泣き崩れた。そして澄子さんに昨年忘年会で言われた事が書いてあった」
「涙を拭いて、澄子さんの会社の仕事を手伝いますと言った」
「最初にやる事は、茂田先輩の個人名義の預金通帳、株券、その他、資産になる物、全ての名義変更が死後7日以内にやる必要があると言い、明日、一緒にその手続きに行こうと言った」

 私と女房の2人も手伝いますから指示して下さいと言うと了解と言った。今日はつかれたので、これ位にして、ご自宅に戻って休んでもらえますかと言うので、それでは失礼しますと言い何かあったら、いつでも電話してと言った。そして自宅の部屋に帰り、奥さんの恵さんに茂田先輩の死の話と、今後、下田さんの彼女の澄子さんの会社の手伝いをする事と掃除の日程と場所と説明して風呂に入って早めに床についた。

 翌、1月12日、銀行へ行き茂田先輩の預金口座の名義変更を3つの金融機関に行って手続きをしてきた。またMMタワーズのマンションの名義人の変更も行った。やがて茂田先輩の葬儀の日が来て、甘太の奥さんと、澄子さんの3人でとタクシーで15分の藤棚の橫浜市営の葬儀場へ10時に行くと、橋本から38人が茂田グループの仲間達がやってきた。

 そして、お坊さん読経の後、次々に焼香を済まして、荼毘に付される間に、昼食を取りった。
「亡き茂田さんの在りし日の思い出を涙ながらに語り酔った仲間が、あんな立派な人はいない」
「素晴らしい人だったと、泣きながら語ると、大勢の仲間の涙を誘った」
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