オーヴァーロード (2018)

文字数 783文字

【愉しませてくれる、ご都合主義満載の快作 】 2019/5/13  



戦争シネマ大好きを自認している。
本シネマ、さほど話題にはなっていなかったが、
そこはそれ戦争シネマファンのアンテナがキャッチした。
しかし、どうやら僕の不得意分野のホラー、その中でも特別なZ趣向であることも分かった。
悩むことはない、戦争シネマはすべてを優先するのだから。

オープニングは101空挺師団の輸送機のなか、ノルマンディ上陸支援に向かう主人公たち。
近年のリアルな戦闘映像(VFX とはいえ)はもはや、「史上最大の作戦」のデュークの頃とは隔世の趣だった。
「バンド・オブ・ブラザーズ」の時よりも一段と進化したパラシュート降下時の銃撃の緊迫感とパニック、
僕は最初から本シネマにノックアウトされる。
合言葉「カラヒ」、も納得の一言だった。

でもちょっとおかしい。
「カラヒ!」 と鼓舞する軍曹も主人公の気弱な空挺隊員もともに黒人、
今までのシネマではけっして目にすることの無かったキャスティングだ。
シネマのなかだけの判断だけど、
黒人の戦闘部隊は「セント・アンナの奇跡」のバッファロー大隊だけだったはずだけど?
まして、ノルマンディ上陸に先駆けるエリート部隊に黒人がいたなんて、びっくりだった。

ということでお分かりのように、
これは史実や事実に基づいた物語ではない、
むしろフェイクをあからさまに認めている。
101空挺部隊の悲劇は事実だけど、
ナチスの非人道的戦争犯罪は事実だけれど、
ナチスの人体実験は事実だけれど、
本シネマの設定はあまりにも極端なフェイクだった。

不死身のZ人間復活に至っては噴飯もの、
Z人間にも、悪玉と善玉がいるのも勝手な解釈だ。
しかしながら、
本作は戦争アクションも含めてご都合主義満載の快作だった。
観客が喜ぶ、怖がるのを生きがいにする映画製作者がスクリーンの向こう側に見えた。

こんなシネマも大好きだ。
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