フェラーリの鷹 (1977)

文字数 563文字

【マカロニ・カーチェイス】 1979/1/23



一言で括るなら、出遅れの「マカロニ・カーチェイス・シネマ」。
シネマ業界で「マカロニ」のタイトルには二つの意味がある、一つはチープな偽物という悪いイメージ、もう一つは奇抜なアイデアという良いイメージだ。
因みに、日本ではこの手のイタリアシネマに「マカロニ」の冠をつけるが、アメリカでは「スパゲッティ」になる、例えばクリント・イーストウッドは「スパゲッティ・ウェスタン」のスター。

しかしながらカーチェイスは、何処の国がどんなメーカーと結託しても、アメリカン・カーチェイスにはかなわない。
もっと言えばアメ車と欧州車の差が歴然としている、フェラーリとシトロエンの疾走にいかほどの迫力を感じるかである。
一歩譲ってローマ警察の全面協力のもと撮影された映像は見逃せないとしても、カーチェイスだけでシネマは成立するものではない。

「ブリット」、「フレンチ・コネクション」、「ドライバー」などを思い出せば、どれだけ脚本の力が重要かがわかるだろう、本シネマに欠けているのは脚本だった。
物語りの底の浅さを車の爆音で誤魔化そうと思った時、必ずシネマはその本質を見失う。
優れたカーチェイス・シネマは車嫌いでも観ることはできるが、
クズのカーチェイス・シネマはマニアが観ても退屈なのだ。

(記:1979年1月23日)
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